老年科疾患とは

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当院長は、日本老年化学会が認定する老年科専門医でもあります。そのため、高齢者によくみられる病気を中心に診療する専門外来を設けています。人は年を経るごとに様々な病気を発症するリスクが高くなっていくほか、複数の病気を持っているというケースも少なくありません。また、高齢になればなるほど健康上の問題に関する不安を抱えて、お困りという方も少なくないと思われます。このような場合、ご相談という形でもかまいませんので、お気軽にご来院ください。

老年化疾患でよくみられる代表的な疾患

  • 認知症(物忘れ)
  • フレイル・サルコペニア
  • 骨粗しょう症
  • 肺気腫
  • 誤嚥性肺炎 等

認知症

認知症とは

何かしらの原因によって、脳の機能障害が起き、それによって、記憶障害、見当識障害、実行機能障害、言語障害、失行・失認などの中核症状と、それに伴って起きる周辺症状(妄想、徘徊、不安、興奮、暴言・暴力、不眠、失禁 等)がみられるなどして、日常生活に支障をきたしている状態を認知症と言います。

認知症でよくみられる症状のひとつがもの忘れですが、人は年をとればもの忘れが増えます。これは自然な老化現象でもありますが、認知症と見分けがつきにくいということもあります。ちなみにもの忘れの場合は、経験したことは覚えていて、何をしたかを忘れています。例えば、朝ごはんを食べたのは覚えていて、何を食べたかを忘れているという状態です。一方認知症の患者さんは、経験したことも忘れていて、朝ごはんを食べたことも覚えていません。ただ、物忘れを見分けるのは容易なことではありませんので、気になる症状があれば、ご家族の方のみのご来院でもかまいません。お気軽にご相談ください。

発症の原因は様々あると言われますが、アルツハイマー型認知症(異常なタンパク質(アミロイドβ)が脳に蓄積し、脳が委縮する病気)の患者さんが全体の6割程度を占め、次いで脳血管性認知症(脳梗塞や脳出血など脳血管障害が原因)の患者さんが2割ほどいるとされています。レビー小体型認知症や前頭側頭型変性症(ピック病)の患者さんも4~5%程度いるとされ、全体の9割近くの患者さんが、この4つのどれかが原因と言われています。

認知症は、現時点では完治させることはできない病気ですが、早期に発見することができれば、薬物療法などによって症状の進行を遅らせることはできます。したがって、認知症のサインや症状がみられたらお気軽にお問い合わせください。

フレイル・サルコペニア

フレイル・サルコペニアとは

フレイルは、健康な状態と介護が必要とされる状態の中間にあたるとされ、心身(精神的、肉体的)ともに機能低下しつつあることから、放置が続けば健康寿命は縮み、やがて要介護状態になっていまします。

サルコペニアは、加齢に伴って起きる筋肉量の減少や筋力低下のことを言います。この状態を放置し続ければ、日常生活を過ごしていくうえで必要とされる、起き上がる、歩くなどの基本動作もままならなくなってやがて介護が必要となります。要介護のリスクをできるだけ避けるには、元気なうちからの予防対策が必須で、運動によって筋肉量を増やす、来るなどするほか、筋肉の生成に効果があるとされるたんぱく質をしっかりとるなど食生活も大切です。

このようなフレイル・サルコペニアに対する予防対策というのも当院で行っています。ご関心をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。

骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

何らかの原因によって骨密度(骨の中に含まれるミネラルの量 等)が低下し、これによって骨の中がスカスカの状態になって骨折しやすくなる病気になります。原因としては、原発性と続発性(内分泌疾患などの病気やステロイドなど薬物の使用が原因)があります。原発性とは、閉経(閉経後骨粗しょう症)や加齢などによって発症するタイプです。高齢になると体内でのカルシウム吸収力が低下するなどして、カルシウム不足をきたすなどして発症しやすくなります。患者数としては、女性が圧倒的に多いですが、高齢の方では男性もそれなりに発症します。

発症すると、転倒して手をついただけでも骨折しやすくなります。折れやすい箇所は、手首、肋骨、背骨、太ももの付け根などです。また体の重さに骨が耐えられず、背骨が折れる(脊椎圧迫骨折)などして、背中が丸まっている、腰痛の症状を訴えるということもあります。

当院では、骨の強度を測定する骨密度検査や血液検査などを行うなどして発症の有無を判定し、治療が必要な場合は、生活習慣の見直しのサポートや薬物療法を行います。

肺気腫

肺気腫とは

主に喫煙者の方にみられる病気で、タバコ等によって肺に慢性的な炎症が起き、それによって肺胞が拡大してしまい、息切れ、しつこい咳や痰などの症状がみられるようになります。治療に関してですが、元の状態に戻すことは困難で、これ以上症状を悪化させないことが目的となります。そのため、禁煙は必須です。治療としては、気管支拡張薬による薬物療法や呼吸リハビリテーションが行われます。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは

食べ物や飲み物、唾液などが誤って気管の方に入り込んでしまい、その際に細菌などの病原体も侵入するなどして、肺に炎症が起きている状態が誤嚥性肺炎です。原因としては飲食物を飲み込む際の誤嚥だけでなく、胃から胃液などが逆流する場合や、飲み込む際の筋力が加齢によって低下し、むせるなどの反射症状がなく、唾液などが入り込むということもあります(不顕性誤嚥)。主な症状は、発熱、咳や痰、体の倦怠感、元気がないなどです。

治療が必要な場合、発症の原因菌に合わせた抗菌薬治療が中心となります。なお症状が重症化していると、酸素吸引や人工呼吸器を使用することもあります。このほか予防対策として、食べた後はすぐに横にならない、口内の雑菌を減らすためのオーラルケアなども行うようにしてください。